賃貸物件を借りる際、契約方法には2つあります。1つは一般的な賃貸借契約の普通借家契約、もう1つは契約が終了した段階で更新せず、明け渡すことが決まっている定期借家契約です。どんな違いがあるのか、理解したうえで契約に臨みましょう。
普通借家契約 | 定期借家契約 | |
---|---|---|
契約期間 | 1年以上。1年未満は無効 | 自由 |
契約方法 | 書面でも口頭でも可能 | 書面に限定 |
更新の有無 | 正当な理由がない限り更新 | 原則としてない |
賃貸借期間の上限 | 2000年3月以前の契約は20年 | ない |
賃借料の増減 | 特約に関係なく、請求できる | 特約の定めに従う |
借り手からの中途解約 | 特約の定めに従う | 床面積200平方メートル未満の居住用建物で、やむを得ない事情があれば可能 |
借地借家法によると、一般的な普通借家契約は期間を定めることも定めないことも自由にできます。ただし、1年未満の契約は無効となり、期間の定めがない契約とみなされます。2000年3月1日以前に契約したものついては、20年までとされています。
契約方法は書面、口頭のどちらでも構いません。正当な理由がない限り、契約が更新されます。期限がある契約でオーナー側が更新を拒絶したいときは、期間満了の1年から6カ月前までの間に正当な理由をつけて通知しなければなりません。
この場合の正当な理由とは、物件の使用を必要とする事情のほか、賃貸借の経過、物件の利用状況、現況などを総合的に判断して妥当かどうか判定されます。期間の定めがない契約の場合も、6カ月前に正当な理由をつけて通知することが求められます。
これに対し、借り手からの申し入れは期間の定めのあるなしにかかわらず、3カ月前に申し出れば良いことになっています。借り手が賃貸物件を追い出されて路頭に迷うことがないよう、借地借家法で保護されているのです。
定期借家契約は契約期間を自由に定めることができますが、必ず書面で契約しなければなりません。書面は公正証書でなくても認められ、期間を1年未満とすることもできます。原則は期間満了に伴い、契約終了となりますが、オーナーと借り手が合意すればその限りではありません。
契約書とは別に、契約の更新がなく、期間の満了で契約が終了することを記載した書面の交付、説明が、オーナー側に義務づけられています。契約期間が1年以上の場合、借り手が契約終了を忘れて困ることがないように、契約満了の1年前から6カ月前の間に通知する義務もオーナー側に課せられています。
居住用建物で、床面積200平方メートル未満については、借り手が転勤や病気療養、親族の介護などやむを得ない事情で使用が困難になった際、解約を申し出ることができます。この場合、申し入れから1カ月で契約が終了します。中途解約について特約を結ぶことも可能です。
定期借家制度は2000年3月1日からスタートしていますが、それ以前に契約された住宅の普通借家契約は、定期借家契約への切り替えが認められていません。これも借り手保護のための制度です。