引っ越しをするときに気になるのは、新しい賃貸住宅の初期費用です。実際に入居するとなると、家賃だけでなく、敷金、礼金、不動産会社への仲介手数料が必要になります。どれくらいの初期費用を準備しておけば良いのでしょうか。
首都圏で賃貸物件を借りるとなると、家賃の4〜6カ月分が必要になるといわれています。幅があるのは、それぞれの物件によって敷金や礼金で差があるからです。内訳は
です。
このうち、敷金は入居時に家主に預けておくお金で、原則として退居時に返ってきます。しかし、家賃の滞納や壁紙などの補修費用が必要になった場合、敷金から差し引かれます。礼金は入居時に家主に支払うお金で、退居しても返ってきません。
前家賃は入居する月の1カ月分を納めるケースと、入居する月の家賃を日割り計算し、翌月1カ月分と一緒に家主へ手渡すこともあります。仲介手数料は消費税を含めて家賃1.08カ月分が法律で定められた上限額です。
京阪神の場合も必要な初期費用はほぼ同じですが、敷金は家賃1カ月分未満と首都圏より安い代わりに、礼金は家賃2カ月分と高くなることが多くなっています。
入居時に敷金、礼金制度の代わりに保証金を納め、退居時に敷引と呼ばれる一定額と修繕費用を差し引く特有の制度も残っています。しかし、近年は不動産仲介業の全国展開が増え、首都圏を基準とした商慣習が広がっています。
1990年代のバブル経済のころは、京阪神の方が首都圏より初期費用が高く、保証金が家賃10カ月分などというところも珍しくありませんでしたが、景気の低迷とともに次第に下がってきました。
近年は敷金や礼金を廃止する物件が全国的に増えています。敷金、礼金ともにない物件は、東京都、大阪府ともざっと10〜20%に達するとされます。礼金なしは東京都で40%近く、敷金なしは大阪府で60%以上といわれています。
このほかに賃貸物件入居時にかかる費用は、引っ越し代と損害保険料です。引っ越し代は業者や荷物の量などによって差がありますが、ワンルームや1DKでざっと5〜10万円をみておけば良いでしょう。
最近の賃貸物件は入居者が自分のお金で損害保険や共済に入ることが多くなってきました。家主の中にも賃貸の条件として掲げる人が増えています。費用は1〜2万円。仲介の不動産会社で手続きを代行してくれます。