賃貸物件を契約するときには、連帯保証人が多くのケースで必要になります。学生の場合、親がなってくれますが、定年退職して年金生活の場合はだいじょうぶでしょうか。連帯保証人について調べてみました。
民法の規定によると、連帯保証人は主債務者と連帯して債務を負うと特約した保証人を指します。主債務者と同等の義務を負っている点が普通の保証人とは違います。保証人には認められているのに、連帯保証人には認められない権利があるのです。その結果「債務者にまず請求してよ」ということができないわけです。
催告の抗弁権 | 保証人が不動産会社など債権者から返済を求められた際、「まず賃貸借契約を結んだ本人に請求をお願いします」と主張できる権利です |
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検索の抗弁権 | 保証人が債権者から返済を求められた場合、賃貸借契約を結んだ本人に「土地など取り立て可能な財産があるのなら、そちらの回収をお願いします」と主張できる権利です |
分別の利益 | 保証人が何人かいる場合、借金の額をその人数で割った額についてのみ支払いの義務が発生します |
賃貸住宅を借りる場合は不動産会社やオーナーから連帯保証人を求められるのが一般的です。借り手が何らかの事情で家賃を払えなくなったとき、確実に回収するため、リスク管理として連帯保証人を求めてくるのです。
一般に連帯保証人はそれなりの収入がある人物が好ましいとされますが、賃貸物件の保証人で年金収入の親を出してきても、問題があると判断する不動産会社やオーナーはほとんどありません。問題ありとなるのは認知症などの病気があったり、あまりにも高齢だったりする特殊なケースぐらいでしょう。
不動産会社やオーナーからすると、両親や祖父母など血縁関係者は連絡が取りやすく、滞納した家賃の支払いに不当なクレームをつけてくることも少ないものです。このため、むしろ血縁者の方が望ましいと考えているのです。
もしも連帯保証人をつけられないときは、保証会社に依頼することになります。保証会社は借り手が家賃を滞納した際に借り手に代わって立替払いするサービスをしています。近年は少子化や高齢化で連帯保証人になってくれる親兄弟がいない人が増えています。このため、保証会社の利用者が増えています。
保証会社の利用には保証料がかかります。料金はそれぞれの会社によって違いますが、家賃1カ月分の30〜70%が多いようです。おおむね契約が2年ごとに更新され、2回目以降は初回より安くなります。
最近は不動産会社やオーナーの間で連帯保証人を不要とするケースが増えてきました。この場合は最初から保証会社との契約を求めてくることがほとんどです。
高齢者向けに連帯保証人、保証会社なしで賃貸契約する不動産会社やオーナーも見られるようになってきました。連れ合いや血縁者の死亡で天涯孤独になっている高齢者が多くなってきたからです。
この場合に多いのが自治体の終身建物賃貸借事業の活用です。借り手が死亡したときは賃借権に相続が発生します。保証会社の契約も借り手の死亡で消滅するのが一般的です。この契約なら借り手が死亡すれば相続が発生せず、スムーズに契約終了できるメリットが不動産会社やオーナーにあります。