多くの賃貸物件は2年程度で契約の更新時期を迎えます。その1〜3カ月前にはオーナーや不動産会社から契約更新の通知が届くはずです。しかし、中には更新料を徴収されることもあります。更新料は支払わなければいけないのでしょうか。
更新料は契約更新時に借り手からオーナーに支払う費用のことで、一般に更新後の賃料の1カ月分になることが多いようです。あくまで契約条件になりますから、更新料を徴収しないケースも存在します。
更新料とは別に、物件を管理する不動産会社から更新手数料が請求されることも少なくありません。一般に更新手数料は更新後の賃料の0.5カ月分とするケースがほとんどです。
このほか、契約時に加入した損害保険も大半が契約満了で期限切れになります。このため、損害保険料も必要になります。2年分でざっと1〜2万円かかります。
保証会社を利用しているときは、保証料が新たに必要になることもあります。入居時の保証料と同額のところもありますが、多くの保証会社は2度目以降、保証料を引き下げています。これらも契約書に明記されていますから、更新前に確認しておきましょう。
更新料は昔からの慣習で、法的な決まりはありません。国土交通省の調査では東京都など首都圏の1都3県で2005年度に契約更新した賃貸物件のうち、62〜90%で徴収されていました。しかし、福岡県では23%など西日本では徴収しない物件が大半を占めています。東日本に多い慣習といえるようです。
オーナー側は更新料を貴重な一時収入と考えています。ただ、長く住んでほしいと考えるオーナーも多いですから、交渉次第で徴収しないようにすることもあります。
更新料は事前の契約に盛り込み、徴収されています。最高裁は2011年「契約に盛り込み、特段に高い額でない限り、消費者契約法で無効とできない」との判断を下しています。借り手からして交渉の余地はありますが、「退去はしないが、更新料を支払わない」と強硬な態度に出ることは難しいようです。
契約書には賃料の改定に対する条項が入っているのが一般的です。法律上は契約に定めた条件を満たせばいつでも改定は可能になりますが、ほとんどの場合は契約の更新時に行われています。
最近は首都圏や京阪神で物件が過剰になり、入居者確保に苦労する地域が増えています。地方では人口減少が深刻化し、入居者確保の競争が激化しています。このため、賃料の引き上げをせず、現状維持とするケースが増加中です。地方では値下げも当たり前になりつつあります。