買い手が決まって契約を済ませば、あとは引き渡しです。しかし、期日までに引き渡しの義務を果たせなければ、債務不履行で違約金の支払いを求められることもあります。売り主が引き渡しまでに準備しておくことにどのようなものがあるでしょうか。
土地の場合は境界の確認が必要です。物を買うときに数量を確認するのと同じで、売り主は土地の範囲を買い手に示す義務があります。境界が不明だったり、越境物が存在したりすると、トラブルの種になりますから、隣地所有者立ち会いの下、きちんと実測しましょう。
境界の標がブロックや柵の場合は、境界線が中央にあるのか、内側か外側なのかも隣地所有者と確認する必要があります。土地家屋調査士に依頼すれば、適切に対処してくれます。
引き渡しまでには、売り主、買い手、仲介の不動産会社が立ち会い、現地確認をします。引き渡し後にトラブルへ発展しないように、付帯設備の引き継ぎなど売買契約書で約束した事項をしっかりと確認しておきましょう。
契約で約束した期日には、所有権の移転登記をしなければなりません。手続きは司法書士が代行してくれますが、必要書類を引き渡しまでに準備しておきましょう。登記簿に記録された内容と事実が異なる場合、所有権移転登記に特別な手続きが必要になり、思わぬ時間がかかります。早めに準備することをお勧めします。
売却物件に抵当権が設定されている場合、ローンの全額返済と抵当権抹消の準備が必要です。仲介の不動産会社が金融機関と調整してくれますが、引き渡しに遅れないように気をつけましょう。ほかに固定資産税や都市計画税、公共料金、マンションなら管理費の精算も忘れてはいけません。
引き渡しの当日に売り主が準備しなければならないのは、登記関係書類や登記費用、実測図、境界確認書、残代金と各種精算金の領収書、建築確認書類などたくさんあります。
登記関係書類 |
実測図か境界確認書 |
建築確認書類 |
残代金、各種精算金の領収証 |
鍵など買い手に引き継ぐもの |
付帯設備の保証書、取扱説明書 |
仲介手数料 |
登記費用 |
当日は買い手から残代金を受け取ると、所有権移転登記の書類を引き渡します。一般には司法書士が間に立ち、具体的な手続きをしてくれます。物件に抵当権が設定されていれば、抹消手続きも同時に進めます。
税金やマンションの管理費を売り主が負担するのは、引き渡しの前日までが一般的。引き渡し日から買い手の負担に変わりますから、日割り計算して清算します。買い手から精算金を受け取ったら、領収証を発行しましょう。
さらに、実測図など関係書類を買い手に引き渡し、引き渡し確認書を受け取ります。引き渡し手続きがすべて終わったら、不動産会社に仲介手数料を支払い、手続きの完了です。