公開日:2017.03.01   更新日:2017.03.01

売却で損失が出たなら、どうすればいい
売却で損失が出たなら、どうすればいい

売却で損失が出たなら、どうすればいい

マイホームの買い換えの際、売却で必ず利益が出るとは限りません。人口減少時代を迎え、土地や住居の資産価値が低下していく場所も少なくないからです。そんな場合、損失を埋め合わせる方法はないのでしょうか。

人口減少で増えてきた売却損

日本は2010年代に入って人口減少時代を迎えました。まだ首都圏や大阪府、愛知県、福岡県では人口増加が続いていますが、地方は深刻な人口減少に苦しんでいます。その結果、土地価格の相場が低迷するところが増えてきました。東日本大震災後、沿岸部で津波被害が予想される場所も価格が大幅にダウンしています。

戸建、マンションを問わず、住宅が飽和状態に陥った地域が少なくありません。都心部なら資産価値の上昇が期待できても、郊外や地方では期待しにくくなりました。このため、マイホーム買い換えの際、売却で損失を出す人もよく見かけます。

マイホームの買い換えなら特例あり

マイホームを売却して一定の損失が出たときは、その損失を一定の要件の下、他の総所得金額から差し引くことができます。所得控除は売却した年だけでなく、翌年から3年目まで繰越控除が認められます。その結果、最大で4年間に渡り、所得税を抑えることができるのです。

もし、売却による損失が大きいなら、所得税がゼロになることもあります。損失を税金で少しだけ取り返せるわけです。これを可能にするのが、居住用財産の買い換え特例です。

この特例を利用できるのは、物件が5年を超えて保有する居住用の財産で、なおかつ売却損が出た場合です(表参照)。特定の所得の損失額を他の所得の利益から差し引くことを損益通算といいます。なお、家族への譲渡や国外の住宅は対象外となります。

居住用財産買い換え特例が適用される主な要件
土地や建物の所有期間がいずれも5年を超えている
売却による損失がある
売却契約をした日の前日に契約期間10年以上の住宅ローン借入残高がある
個人の居住に使用されなくなってから3年を経過する日が属する年の12月末までに売却される
物件が国内に存在する
家族や親族への売却ではない

適用除外となるケースも

ただし、適用除外となるケースもあります。

  • 損益通算しようとする年の3年前までに他の居住用資産で損益通算の特例を受けた
  • 売却した年の前年、前々年に長期譲渡所得の課税特例や居住用財産の譲渡所得の特別控除、居住用財産の買い換え特例などを受けている
  • などです。

このほか、店舗や事務所と併用した住宅の場合は、控除の対象が居住用部分の面積で案分した損失額に限られます。国外の住宅は対象外で、2つ以上住宅を所有しているときは主として居住に使用する住宅限定とされています。

さらに、譲渡する相手が自分の家族や内縁の配偶者、直系血族、生計を一にする親族である場合も対象外となります。家屋とともに売却する土地の面積が500平方メートルを超す場合は、500平方メートルを超える部分は、売却した年の控除対象となるものの、翌年以降の繰越控除はできません。

ライタープロフィール
高田 泰 ライタープロフィール

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとして雑誌、ウェブサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動。