気に入った物件の条件交渉が終われば契約になります。しかし、その前に重要事項説明という段階を踏まなければなりません。これは宅地建物取引業法に規定され、不動産会社に義務づけられています。買い手が契約に合意するかどうかの最終確認の場と考えれば良いでしょう。
重要事項説明は、不動産会社の宅地建物取引士が内容を記載した書面に記名押印し、書面を買い手に交付したうえ口頭で説明します。買い手は説明を受けて契約に合意して購入するかどうか最終判断を下すわけですから、十分に内容を理解しておかないといけません。
説明に当たる宅地建物取引士は資格試験に合格し、宅地建物取引士証の交付を受けた者を指します。以前は宅地建物取引主任者と呼ばれていました。説明の際にはあらためて取引士証の提示が義務づけられています。
記載されている事項は、大きく分けて対象となる物件、取引条件です。土地の場合、
が示されます。このほか、実測図と登記簿面積に差異が生じたならどのように解決するかも記載されるのが一般的です。
建物の場合も
などが説明されます。ほかに、増築などで未登記部分があれば、固定資産税課税台帳による情報が追加されます。
さらに、上水道、ガス、電気などインフラの整備状況、都市計画法など法令上の制限、私道の権利関係なども説明に含まれます。対象がマンションなら、共用部分の定め、敷地の権利関係、専用使用権の定め、管理費や修繕積立金、管理業者についての報告などが加わります。
取引条件では、手付金の額や固定資産税などの清算金額、契約解除の方法、引渡し前の滅失、毀損の対応、損害賠償額や違約金、銀行ローンなど金銭貸借などの説明があります。
買い手側は宅地建物取引士の説明を受け、条件交渉の際の話と食い違いがないか、他に必要とされる費用負担がないかなどを判断し、同意するかどうかを決めなければなりません。特に気をつけなければいけない点は、物件情報の確認や契約条件など8つのポイントです。
ポイント | 概要 |
---|---|
宅地建物取引士証 | 説明する人物が宅地建物取引士かどうか |
物件の基本的な情報 | 条件交渉時の説明と食い違いがないか、権利関係に問題がないか |
法令上の制限 | 土地の利用制限や特別な費用負担がないか |
インフラ整備 | 上水道やガス、電気の供給に問題はないか |
物件利用上の制限 | 物件の利用に特別な制限はないか |
マンションのルール | 購入予定がマンションなら、建物利用、管理、修繕のルールがどうなっているのか |
契約条件 | 契約条件に問題はないか |
その他 | 金銭貸借のあっせんがあるのか |
説明で問題が見つかれば、場合によっては購入を断念することにもなりかねません。このため、重要事項説明はできるだけ早めに受けておいた方が良いでしょう。説明を受けたらすぐに契約するのではなく、しっかりと時間を取って検討できるようスケジュール調整にも気を配りましょう。