不動産会社が売り主である場合は、さまざまな規制が設けられています。クーリングオフや瑕疵担保責任の期間、損害賠償予定額の制限などで、不動産会社と契約するのなら、1つひとつ頭に入れておきましょう。
宅地建物取引業法では、誇大広告の禁止や重要事項の説明など適正な取引を進めるための規制を設けています。しかし、不動産会社が売り主で、一般人が買い手となった場合、不動産取引に対する知識に大きな差があります。
放置しておけば、悪徳業者が消費者をだまして不当な利益を上げる可能性も否定できません。そこで、消費者保護の観点から不動産会社が売り主になったときに限り、特別な規制が設けられているのです。
その1つに未完成物件の契約制限があります。一定規模以上の土地の造成、建物の建築には、行政官庁の許可などが必要になります。このため、許可などを得る前に不動産会社が売買契約をすることが禁じられています。
さらに、自己が取得できることが明らかな場合や、未完成物件で前金の保全措置をしている場合を除き、自己が所有しない土地や建物を自ら売り主になって契約や予約をしてはならないことになっています。
一定の条件を満たせば、契約にクーリングオフが適用されます。その条件とは
などです。
手付金の額も制限されます。売買代金の20%を超す手付金を受け取ってはいけないと規定されているのです。そのうえ、手付金を解約手付とし、買い手の解除権を制限する特約も無効とされます。
不動産会社が一定額以上の手付金を受け取ったときは、保全措置を講じなければなりません。保全措置とは銀行や保証会社の保証、保険会社の保険をつけることで、不動産会社が倒産したときに買い手に手付金が返還されるようにすることです。
このケースが適用される額は、
と規定されています。
契約違反があったときの損害賠償予定額にも制限が設けられています。違約金や賠償額の合計が売買代金の20%を超えてはならないのです。20%を超す契約を結んでいた場合、超過分は無効となります。
予期せぬ欠陥があるなど瑕疵担保責任については、物件引き渡しの日から2年以上責任を負うことが求められます。なお、新築物件なら、基礎や屋根、外壁、柱などの主要構造部分について、10年以上の瑕疵担保責任を負います。
瑕疵担保責任の条項が無効となったときは民法の規定が適用されます。民法では買い手が瑕疵を知ったときから1年以内なら契約解除や損害賠償の請求をできると規定しています。この責任を履行するため、不動産会社には保険への加入か補償金の供託を義務づけられています。