入居者を募集するに当たっては、契約期間や契約方法、管理費、ペットの飼育が可能かなど条件を詳しく設定しなければなりません。空き室を作らないためには、季節変動にも留意して適切な賃料を設定する必要があります。
入居者を募集する際に決めておくべきことは、賃料や管理費(共益費)だけではありません。このうち、契約期間はどういう契約形態になるかで変わってきます。一般的な普通借家契約だと1年以上で設定され、2年契約とするケースがほとんどです。契約更新のない定期借家契約だと、期間を自由に定めることができます。
項目 | 注意点 |
---|---|
賃料 | 季節変動にも十分留意する |
管理費 | 賃料に含めることも可能 |
敷金、礼金 | 相場は賃料の1、2カ月分だが、徴収しないケースも |
契約形態 | 一般的な普通借家契約と更新のない定期借家契約がある |
損害保険 | 加入を条件とするケースが増えている |
連帯保証人 | 保証会社で代行が可能 |
その他 | ペット飼育の可否や駐車場、駐輪場の利用条件など |
連帯保証人は置いても置かなくても構いません。連帯保証人をつけずに、保証会社に依頼してもらう方法もあります。損害保険は借り手が水漏れや火災を起こす可能性もありますから、加入してもらいましょう。
賃料はいったん契約すると、簡単に変更することができません。契約条件の変更が成立するのはオーナーと借り手双方の合意が必要です。仮に賃料値上げをオーナー側が通知したところで、借り手に拒否されると引き上げできないのです。
賃料で双方の合意ができないまま、契約期間が満了した場合、法定更新となります。そのときは従来の契約通りの賃料で新たに契約が結ばれたとみなされます。借地借家法はそれだけ立場の弱い借り手を保護していますから、最初から十分に検討して提示しておく必要があるのです。
賃貸物件を探す人は季節によってその数が大きく変わります。進学、就職、転勤時期と重なる春先は物件を探す人が急増します。秋の転勤時期も急に需要が増えます。これに対し、新年度がスタートしてから夏までや年末は、急激に物件を探す人が減少します。賃貸物件は季節変動が非常に大きいのです。
大都市圏の賃料相場を春先と秋を100として考えれば、それ以外の時期は90%台というところでしょうか。特に人口減少の著しい地方都市だと、春と秋以外に需要がほとんどゼロになるところもあります。
このため、賃貸に出す時期に合わせて営業促進策を講じる必要が出てきます。春先に売るときは需要が大きいのを見越し、少し強気の賃料を提示しても、その時期が過ぎれば賃料を引き下げたり、礼金や手数料を取らないようにしたりする工夫が求められます。
空き室、空き家が長期化しては収入が滞ってしまいます。季節変動を十分に考慮して柔軟に対応することも、オーナーとして忘れてはいけません。