住まいを賃貸に出すと、収入が入ってきますが、出ていくお金もあります。マンションの1室、戸建住宅1軒を貸し出すときと、新たに1棟の賃貸集合住宅を建てるケースで出費額が大きく異なりますが、収支のバランスを事前によく考えておかなければならない点は同じです。
まず、住まいを貸したときに入ってくるお金と出ていくお金を見ていきましょう。継続して入ってくる収入には、賃料と管理費があります。しかし、常に借り手がいるとは限りません。一定期間空き部屋、空き家となることも考慮し、少なめに見積もっておくべきです。
継続的なもの | 一時的なもの | |
---|---|---|
収入 | 賃料 管理費(共益費) | 礼金 更新料 |
支出 | 管理委託費 管理費・修繕積立金 購入時のローン | メンテナンス、修繕費 仲介手数料 |
一時的に入ってくる収入には礼金や契約の更新料があります。礼金は賃料の1、2カ月分、更新料は賃料の1カ月分が相場ですが、これらを徴収していると、地域によっては借り手が見つからないことも考えられます。管理してもらう不動産会社とよく相談し、ケースバイケースで判断する方が良さそうです。
このほか、敷金も一時的に入ってきますが、借り手が退去するときに損傷を修繕し、残りを返還するものです。いわば預り金ですから、収入と考えてはいけません。
逆に、支出しなければならないものとしては、不動産会社への管理委託費、住み替え先の住居費、購入時のローン、固定資産税や都市計画税が挙げられます。マンションの場合は管理費と修繕積立金が必要になってきます。
一時的な費用としては設備の故障に伴うメンテナンスや修繕の費用、入居者を募集する際の不動産会社に対する仲介手数料があります。修繕費は物件の老朽度によって変わってきますが、古くなればなるほどあらかじめ準備しておく額が大きくなるでしょう。仲介手数料は賃料の0.5カ月分に消費税を加えた額となるのが一般的です。
これらの収入と支出を事前に計算し、収支状況を把握することを忘れてはなりません。毎月の家計の中でどんな影響が出るのか、継続的な収入と支出から分析し、判断することが必要です。
さらに、空き室、空き家になると、収入が途絶えます。手持ちの物件が常に入居希望者がいる人気の場所にあれば良いのですが、そうでない場合は空き室、空き家を回避するための広告費用なども見込む必要があるでしょう。
ただ、人口減少の深刻な地方になると、賃貸物件の空き室が増えてきました。一定の収入が見込めるとしてよく精査もせずに賃貸に出せば、入居者が見つからずに苦労することも十分に考えられます。人口が増えていた時代と状況が変わってきたことを頭に入れておかないといけません。